クロールで息が続かない人は「吐く」ことから始めよう

初心者のクロール練習時においてつまづき易いポイントとして「息が続かない」ということが挙げられます。

今回は「なぜ続かないのか」その原因の究明と、初心者における簡単な呼吸練習方法をご紹介したいと思います。


1.息継ぎ=呼吸は「呼」と「吸」であるということ

クロールで息が続かないというご相談はよくお受け致しますが、そもそもクロールで息が続かないのではなく、水中での息=呼吸そのものが確立されていない場合が多く見受けられます。

呼吸とは、もちろん空気を吐いて吸ってを繰り返す動作ですが、多くの方が「吐いて吸って」ではなく「吸って吐いて」になりがちです。

普段の生活で自分が吐いて吸ってるのか、吸って吐いてるのかなど意識したことがある方は殆どおられないはず。

しかしそこは水中。

しっかり意識して練習を繰り返さないとなかなか自分のものにはなりません。

そこでまず意識しなければならない最も重要な事は「吐く」事です。

そして吐くことこそが水泳上達の第一歩と言っても過言ではありません。

次の章では、初歩の段階での具体的な息の吐き方をご紹介します。


2.吐くことに手段を選ばない

息の吐き方としては基本的に鼻から吐きます。

最初上手くいかない場合は口から吐いても問題ありません。

具体的な吐き方としては、鼻から吐く場合は鼻をかむ時のようなイメージで、口から吐く場合は熱いお茶をフーフーするようなイメージでやると分かり易いです。

吐く強さは、口の場合は最初から強く吐いても(風船を膨らませるぐらいの勢いでも)構いませんが、鼻からの場合は、慣れるまではゆっくりそーっと始めた方がいいかもしれません。

理由としては、急に鼻に強い圧力を掛けると、耳に負担が掛かる場合があるから。

特に、過去に耳の疾患があった方は、最初は静かに始めるようにされた方がいいかもしれません。

次に「吸」=吸うことですが、これは特に意識しなくても大丈夫です。

気をつけるのは鼻からは吸わないという事だけです。

「だって息を吸わないでどうするの?!」と思われがちですが、吸う動作は体が勝手にしてくれます。

医学的なことは分からないので、そこら辺の詳しいメカニズムの説明は私にはできませんが、吸う動作は吐く事とセットになっているようなので、吐けば自然に吸うことができます。

「ちゃんと吐いているのに吸えないのは何故?」とよくおっしゃられますが、それは、ちゃんと吐いているのではなく、ちゃんと吐いている「つもり」になってしまっているから。

誰もがちゃんと吐き、そして実際ちゃんと吐けてます。

なのに何故吸えないのか?

そこに陸上と水中の環境の違いの難しさが出てきます。

つまり大まかに言うと、陸上と水中では吐く力、吐き出す時の感覚、タイミング、吐く長さ、吐く量、吐く場所(顔が下に向いている時、前に向いている時、水面ギリギリの時、など)によってのそれぞれの使い分け、など、その違いは様々。

つまりいかなる場所、場面、状態にあったとしても、ちゃんと吐けてさえいればちゃんと吸えるということになるので、最終的には誰にでもできるという事になります。

「それでもやっぱりクロールで息が続かない」という方。

次は、その練習方法から息が続かない原因を探ってみましょう。


3.クロールで息が続かないのはその形にこだわりすぎるから

水泳の基本の泳ぎはクロールです。

そして水泳を全般的に上達させるためには、まずクロールをしっかり泳げるようにならないといけません。

そのためにクロールの呼吸練習をするわけですが、クロールの呼吸だからと言って、何が何でもクロールの姿勢で練習をしなければならないという訳ではありません。

そもそもクロールで息が続かないという事は、それ以前の状態に問題があるというケースが非常に多く見受けられます。

初心者によく見受けらけるケースとして、クロールの息継ぎの時、1回目だけはうまくいくけど、2回目はちょっと苦しく、3回目は出来たり出来なかったりするというパターン。

この場合は、前項で記載した呼吸そのものがほぼ出来ていないということになります。

お勧めの練習方法としては、前向きのまま潜ったり浮いたりしての歩きながらの練習。

要は、呼吸以外の部分に気を使わなくていい状態で練習をするという事です。

足の裏が床についていることで姿勢の安定を保ち、垂直に潜るという事で重力の方向に逆らわずに行い、結果全体の動きがとても自然になるため、呼吸だけに意識が集中できるということになります。

慣れてくると両足で小さくジャンプしながら行います。

ジャンプをする目的は呼吸の間隔を詰めることにあるので、無理にジャンプでなくても構いませんが、1秒で潜り1秒で浮くペースで連続して25M継続できるようにして下さい。

歩きながらはちょっと抵抗があるという方は、プールサイドまたはビート板を使ってキックをしながら前向きに呼吸する方法です。

前向きに呼吸する事でお腹はずっと下を向いたまま、つまり体の広い面が下を向いているのでそれだけで浮き易い状態を保て、呼吸の時間が長く確保し易くなります。

いずれの状態でも注意すべき点は、呼吸が完了していない(顔を上げた時「吐けた」「吸えた」と自分が納得できていない)のに顔をすぐ浸けて次の呼吸に移らない事です。

せっかく安定した姿勢での練習なのだから、顔が出ている時間をしっかり長く取って、1回1回の呼吸を自分で確認しながら行ってみて下さい。

ビート板で前進しつつ呼吸練習をする場合、先にも申し上げましたがクロールの形にこだわり過ぎない事。

動かす足の形はクロールのキック(バタ足)でなくても構いません。

特に男性の場合、体形や骨格の関係上、平泳ぎのキックが得意という方が比較的多いので、その場合は平泳ぎのキックでやってみましょう。

また、バタ足しかできないという方は、ちょっと抵抗はあるかもしれませんが、ヘルパー等の浮き具を用い、しっかりと浮いた状態を保つようにして下さい。

平泳ぎのキックにしろバタ足にしろ、要点は、ビート板で前進しながら呼吸練習をする場合、体が沈んだ状態でやらないという事がポイントとなり、重複しますが、とにかく呼吸以外の部分に意識がいかないようにすることが重要です。

いずれにせよ、まず吐く事だけを意識して、初めは口、鼻どちらでもいいですが、最終的には鼻から吐けるように意識して下さい。

そして鼻からは吸わないようにして下さい。

鼻から吸うことは、ただ単に痛いだけではなく、普通の状態だと少し入ったくらいでは全く問題はありませんが、自覚症状がなく免疫力が低下している状態の場合だと、中耳炎を誘発しかねませんのでお気をつけ下さい。


4.25Mの間 息継ぎを続ける

今回は初心者に焦点を絞り「なぜ息が続かないか」という問題点を解消するための具体的な方法を少しだけご紹介致しましたが、ご紹介させて頂いた方法はあくまでも手段であり、目的ではありません。

なので、鼻からうまく吐けなくても大丈夫ですし、風船を膨らませるように口から勢いよく吐けなくても構いません。

ジャンプしながらの呼吸ができなくても問題ないし、片手クロールも無理にしなくてもいいんです。

ご紹介したそれらはすべて手段であって、目的はクロールという泳法で25M息が続くように泳ぐこと。

最終的にそこに結び付くことなら、色んなことにチャレンジされる方がいいと思います。

とにかくクロールで息が続かない最も大きな要因は「水中で息を吐けていない」ということ。

息は吐くところから始まります。

だから呼吸は「呼」が先に書かれているのかもしれませんね。

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