子供にとっては「浮き方」=「水泳」ではありません
親が子供に水泳を教えようとする時、まず浮き方を教えようとされる方は多いです。
今回は子供に水泳を教えるにあたってその「浮かない理由」と「浮けない理由」から「浮き方」を探ってみます。
1.子供に水泳での浮き方を教える時
水が好きな子供は水泳練習にも積極的に取り組み、浮き方は教えなくてもできるようになります。
しかし幼少期には水泳が好きではない子供は少なくとも半数を占め、浮き方の練習に辿り着く前に拒否されるケースがほとんどです。
ですのでくれぐれも初めの段階は、特に3才くらいまでは基本的に無理強いしないことをお勧めします。
つまり水泳や水にまったく関わらせないのではなく、必ず親が一緒にしてあげることがポイントです。
そして根気よく練習に付き合う事です。
子供は大人より、色んな理由でのんびり生きていますし、集中力も大して続きませんので、今日明日の話には絶対ならないと思って頂き、少なくとも自分一人でプールに入れるようになるまで待ってから浮き方を教えていってあげて下さい。
2.浮かない理由
それではここからは、子供が一人でプールに入れたという段階からの話になります。
プールに入れたまではいいけど、いつまで経ってもなかなか浮こうとしない子供もいます。
それの大きな原因はもちろん「水が怖い」というものですが、水が怖い理由も子供なりに色々あります。
ポイントはその彼らの理由を一つ一つ大事=おおごととして大人側が取らない事です。
文字通り「それは取るに足らない事なんだ」ということを、上手い具合に伝えていきます。
それぞれの親子にそれぞれあるでしょうから伝え方はお任せしますが、とにかく「それは小事なんだ」というアピールをして、怖い原因をいちいち探りにいく必要はないです。
探りにいく必要性のある事は世の中たくさんありますが、水が怖い事に対する原因に限っては探らなくても大丈夫です。
なぜなら、私が今まで見てきた子供は少なくとも1000人はいると思いますが、その全員がなぜ水が怖かったかという理由はもちろん、水を怖がっていた事さえも、水泳が好きになった時点ではまったく覚えていませんので。
子供が自ら浮こうとしない時は水がまだ怖いのと同時に、その環境にも慣れていない時なので、浅いところに座って一緒に遊んだり、抱っこして歩いてみたりと、色々しながら慣れるまで待ってあげて下さい。
3.浮けない理由
浮けないのは「浮こうという気持ちは無くはないんだけど何故か浮けない」という事です。
人生経験が少ない子供は「これをこうしたら、多分こうなる」といった予測が立てにくいです。
水泳での浮き方も同じで、ボキャブラリーが少ない分、言葉では言い表せないのですが、本能的に「もし足が床から離れたら、その次はどうしたらいいのかよく分からないけど何かヤバそう」と子供心に思ってます。
つまり「結果が分からない」「次の展開の予測が立たない」事に対する恐怖心とそれを加勢するかのような「本能的に危険を感じる」事によって「浮こうという気持ちは無くはないんだけど何故か浮けない」という結果につながっていきます。
浮きたい気持ちはあるのだから、ここで初めて浮き方の練習開始、と思いきや、その前にして頂く事は「足を床につけたまま潜る練習」です。
ポイントは「足を床につけたまま」というところです。
足を床につけたままで、いつでも元の立位に返れるという安心感を残して潜らせます。
しかしいくら足を床につけて、尚且つ前を向いて潜っても、頭部がすべて水没すれば浮力が作用し始め、足は床から離れようとします。
その時子供は初めて「浮いた」という感覚を覚えます。
「水泳をするので浮き方を教えましょう」という時、大人が子供に教えようとするのは水平姿勢です。
大人は今までの人生経験で「水泳をするためには水平姿勢にならないといけない」と知ってますので、すぐ水平姿勢を取らせたがります。
多分多くの方がその場面に遭遇した経験があると思いますので、少し思い出して頂きたいのですが、子供がプールやお風呂で「なんか、今ちょっとだけ浮いた」というセリフを言った時は、足が床から離れただけではなかったでしょうか?
決して水平姿勢=浮いたではなかったはずです。
子供にとっては足が床から離れ、体がふわっとなった時、初めて浮いたと感じます。
つまり浮き方を教える時、一番初めにして頂きたい事は「潜らせる事」です。
あとは親がしなくても水が勝手にしてくれます。
大人の「浮く=水平姿勢」の式は、初めて浮き方を覚えようとする子供には当てはまらいという事を覚えておかれると便利です。
4.立ち方を教える
この段階になると水への恐怖心もほとんど無くなってますので、顔を浸けたり潜ったりする事への抵抗もほぼありません。
水平姿勢を教えるのはこの段階からという事になります。
そしてある程度水に慣れてきている段階だからこそ、ここでとことんまで体に教え込んでおかないといけない事は「立ち方」です。
浮き方を教える時、一番大切なのは立ち方を徹底して教えることです。
立ち方さえきちんとできれば、浮いた後の結果が分かった事になるので、子供は思い切って浮けるようになり、そうなれば後はしばらく好きにさせてやるのがいいと思います。
3.誰でも浮くように出来てます
子供が「もっと上達したい」と思う気持ちが出てくるようになるまでには、この段階ではまだまだ先のことになるのでしょうけど、それもこれもまず浮けるようになったからこそです。
浮けるようになるまでで少なくともこれぐらいの段階を経ないといけないので、もし皆さんの知り合いにスイミングクラブに通っていて、すごく上手に泳げるような子供がいたとしたら、その子はそこまで上達するまでに相当苦労したんだな、と分かってあげてもらえたら嬉しいです。
今回は子供が水泳をするにあたってその為の浮き方を教えるというテーマで浮き方について色々探ってみましたが「この通りに今までやったけど、それでもうちの子は浮けない」と思っておられる親御さんがおられたら、それは心配しなくても大丈夫です。
人は生きていれば必ず肺の中に空気が入っていて、それが浮袋の役割をしてくれるので構造上、誰でも浮くようになってます。
とにかく焦らずゆっくり慣れていって下さい。
浮く前に気持ちが沈んでいたら、浮くものも浮きにくくなると思いますよ。