初心者の自由形における穴場的な練習メニュー
今回は初心者の自由形の練習メニューをご紹介します。
練習メニューはたくさんありますが、今回は見落としがちですがそこそこ役に立つ練習メニューをご紹介致します。
1.練習に入る前に
初心者の多くに見られるやってはいけないのについやってしまう事として一番に挙げられるのは「無理をしてしまうこと」です。
憧れの自由形の完泳に向けて練習メニューも手を抜く事なくこなそうとします。
加えて、見るもの聞くものすべてが新鮮なことばかりなので楽しくて仕方ありません。
故に、傍から見ていたら明らかに無理をしているにも関わらず、無理をしていることにさえ気付いてない方も多いです。
ここで言う無理とは「練習内容が無理」というのもありますが、それよりもこの段階において自覚症状が出にくい「身体的な無理」のことです。
練習に向かう前に、昨夜はきちんと睡眠が取れたか、今朝はご飯をちゃんと食べられたか、喉がおかしかったり何となく熱っぽいという風邪のような感覚はないか、加えて持病がある方は、薬は忘れず飲んだか、血圧は正常か、そして気分的にも気がかりなことがあったり落ち込んだりしていないかなど、気を付けなければいけない事は多岐に渡ります。
まあ早い話がいつも通りかどうかという事ですが、精神的には色々あるでしょうから必ずとは申しませんが、少なくとも身体的にはいつも通りであるかどうかを必ず自分で、ちょっとでいいので気にかけておくようにして下さい。
そして身体的にいつも通りでなければ、その日は練習をしてはいけません。
身体的に異常がある場合は、ポイントを押さえた正しい練習ができず結果的に「ただしんどかった」だけになってしまいます。
くれぐれも練習は最低でもいつも通りの身体状態の時に行うようにして下さい。
2.初心者の自由形の練習メニュー
自由形の練習メニューはたくさんありますし、インターネットで検索すればいくらでも出てきます。
なので今回は「やった事がない訳じゃないけど特に力を入れて練習した訳でもない」という、ついスルーしてしまいがちな、それでいて自由形だけでなくそれ以外の泳法でもそこそこ役に立つ練習メニューをご紹介致します。
1.穴場的練習メニュー
それはスタートです。
水泳の上達に、初心者上級者問わず最も大切なのはストリームラインの確保とその姿勢での蹴伸びです。
そこを重点的に練習するのはもちろん大切ですが、案外見落としがちなのが「スタートの仕方」です。
スタートがきちんと出来れいれば割とストリームラインも作り易く、蹴伸びもし易くなってきます。
では、やり方の順番とその時のポイントです。
①立位の状態からしゃがんで肩まで水に浸かる
「肩まで」というより顎まででも構いません。
とにかく顔を水から離さないような意識で、真っ直ぐ前を向いたまま水に浸かりましょう。
②両手を前に伸ばす
まだストリームラインを作る前の段階なので、この時点で伸ばした左右の腕は少し離れてても手が重なってなくても大丈夫です。
③顔を下に向け、頭を水に入れる
朝、顔を洗う時、どんなに頑張っても髪の生え際までしか洗わないので、そこまで水に濡れた感覚を覚えたら、頭が水に入ったと錯覚し易いですが、この時の頭を水に入れるというのは正確には「頭頂部を水に入れる」という事です。
頭頂部が水面より下に来ていないと頭が水に浸かってるとは言えません。
そしてこの動作は次につなげる大事な項目となりますので、感覚的に少し大袈裟に行います。
ポイントは頭頂部の向きです。
頭頂部の向きは最低真っ直ぐ前、できるなら少し下を向くようにして下さい。
頭頂部が下を向くと下半身が浮き易くなります。
下半身が浮き易い状態になると、次の工程が楽に行えます。
頭頂部が下を向くための手っ取り早い方法は顔をつけてそのまま後ろにある壁、できれば膝付近より上の壁をチラッと見に行くだけです。
その付近の壁がチラッとでも見えるという事は頭頂部は必ず下を向いていることになります。
注意点は壁を見る場合はくれぐれもチラッとです。
膝付近の壁がチラッと見える程度で十分ですので、あまりまじまじと見に行かないで下さい。
あと、ただでさえ鼻に水が入り易い状態になっていますので、鼻から息を少しずつ吐かないと息を止めてるだけでは恐らく入ってきますので、その点はご注意下さい。
④お尻と足を上げて、爪先を壁につける
③の時、頭頂部が少しでも下を向いていれば、下半身は既に浮く方向に動き出しています。
③だけでは下半身は浮いてはきませんので、ここで少し意識して軽くジャンプをするようにお尻と足を浮かせます。
浮かせる時のポイントは、ジャンプするのは下半身だけで上半身は動かさないということ。
コツは肩を水から出さないようにジャンプすることです。
そして爪先を必ず壁につけて下さい。
壁から爪先を離すと、足と壁との距離が分からないので、足が離れた状態から思い切り蹴り、その時、思いの外、壁との距離が近い場合は怪我をする可能性がありますので、くれぐれも足が離れている状態で壁を蹴らないようにして下さい。
そして次に申し上げる事が、このスタートの仕方の中で最も重要なポイントです。
それは壁を蹴る爪先の位置です。
爪先の位置は、限りなく水面に近いところに持ってきましょう。
スタートで陥り易い失敗は蹴る位置が低いということ。
水に慣れていないので顔を浸けても頭の位置はせいぜい水面直下。
にも関わらず、壁を蹴る位置は殆どの初心者は限りなく床に近い位置か、頑張っても壁の真ん中止まり。
つまりスタートの時点で水平にすらなってないということです。
立位に近い姿勢ではストリームラインも取りようがありません。
そんな中途半端な姿勢のままスタートしても、蹴伸びで滑るように伸びる感覚はなかなか掴めなくても当然かと思われます。
爪先の位置は限りなく水面に近いところと申し上げましたが、慣れるに従って変化します。
要点は「頭頂部の高さと爪先の高さを同じにする」ということです。
⑤壁を蹴る
あとは揃えてなかった腕を揃えるだけです。
上腕部分が耳の後ろ辺りに来るようにして、掌を重ねて腕を揃えて真っ直ぐ伸ばしましょう。
それが出来てから、力強く壁を蹴ります。
3.準備が大事
水泳の上達に必要不可欠な項目はストリームラインの確保と蹴伸びと申し上げました。
何事も本番より準備と片づけが大切と言われます。
先ほどの練習メニューの工程の中で④までがすべて準備で⑤だけが本番。
しかしその①から⑤までのすべては蹴伸びのための準備です。
そして蹴伸びは自由形のスイムに入るまでの準備という事になります。
初心者の時は少々しんどくても面白さに負けてついつい練習に行きがちです。
そんな「しんどいけどやりたい」という時には、ぜひこのスタート練習をなさってみて下さい。
運動量は殆どありませんので息もあがらず、体力も使いません。
でも水泳初心者の方にとってはそこそこ難しいけど出来なくはないという程よい面白さがあるメニューですので、終わった後の充実感もまずまず得られると思います。
ぜひ試してみて下さい。
でもやはり身体的にしんどい時の練習はお勧めできません。
練習に行く前の晩はよく寝て、まず身体の準備をしっかりなさって下さいね。
そして心身ともに絶好調の万全の準備でプールに行くようにして下さい。
でも、そういう時に限ってよくあるんですよね。
「水着準備するの忘れた・・・」っていうのが。