背泳ぎのターンのルール判定は人が行います
背泳ぎのターンはタッチターンとクイックターンの2種類があり、ルール的にもどちらもさほど厳しくありません。
ルールは厳しくなくても、それを判定する人が厳しくないとは限りません。
1.背泳ぎのターンのルール
背泳ぎのターンのルールは以下のようになっています。
①ターンをしてる間に体の一部がプールの壁に触れなければならない。
ターンの時1回は壁に触ってね、という事です。
②ターンの時は垂直以上に裏返しになってもよく、その後はターンを始めるために、速やかに一連の動作として、片腕あるいは同時の両腕のかきを使用することができる。
ターンをする為にうつ伏せになるのも大丈夫だし、うつ伏せになった流れでクロールみたいな手の動きが入ったとしても、それは別構わないよ、という事です。
③ターンが終わって足が壁から離れる時には仰向けの姿勢に戻っていなければならない。
ターンする為にうつ伏せになったとしても、ターンが終わって壁を蹴る時には仰向けに戻っておかないとダメですよ、という事です。
ちょっと複雑なルールになってきましたが、これは背泳ぎでクイックターンが出来るようになってからです。
それ以前は背泳ぎもタッチターンしか認められていませんでしたが、うろ覚えですが、1990年前後にクイックターンが導入されたと思います。
以後背泳ぎはクイックターンが主流になってきましたが、ルールで言えばタッチターンでも特に問題ありません。
2.背泳ぎのターンの注意点
ターンは練習を重ね、体で覚えるのが一番です。
そこで背泳ぎのターンのポイントと、それにまつわる注意点をご紹介します。
1.背泳ぎはちょっとぐらいなら傾いても大丈夫
背泳ぎはとりあえず仰向けにさえなっておけば何とかなる種目です。
でもだんだんと上達するに伴い、スピードを意識するようになります。
ターンも同じでより速く、より効率的なターンを求めるようになります。
その時、仰向けにこだわり過ぎるとなかなかマスターできず、上達に対する情熱もそこで冷めかねません。
そこで背泳ぎのルールに着目したいのですが、背泳ぎの仰向けの定義は「仰向けの姿勢とは、頭部を除き、肩の回転角度が水面に対し90 度未満であることをいう」とあります。
ターンの種類がクイックであれタッチであれ、先ほどの「③ターンが終わって足が壁から離れる時には仰向けの姿勢に戻っていなければならない」は共通のルールな訳ですが、ここでその90度未満を活用すると、割とスムーズにターンがこなせます
ターンの後、素早く仰向けになって壁を蹴りたいところですが、完全に仰向けになるまで待っているとなかなか素早いターンができません。
そこで90度未満ルールを応用し、ちょっと体を傾けた状態で壁を蹴る事で素早いターンにつなげるようにすればスムーズにいくと思います。
2.しかし監察員は人間であるという事を忘れずに
ここで一番気を付けなければならないのは、ただ自分だけで水泳を楽しみたい、という一般的な水泳愛好者ならそれで特に問題ありませんが、マスターズ水泳大会等に出場し、記録を狙いたい、と思っておられる方は「泳法監察員は人間である」という事を常に念頭に置いておく必要があります。
水泳は泳法監察において、最近色々なスポーツで導入されているビデオ判定などはなく、すべて人間の目で判断しています。
つまりその泳法監察員の人間性でセーフになる場合もあるしアウトになる場合もあるという事です。
普段から「疑わしきは罰せず」というタイプの方なら「今のはちょっと怪しかったけどギリギリOKかな」と取るでしょうし、「ルールは常に万人に平等に」というタイプの方なら「李下に冠を正さず」となりアウトとなるでしょう。
どちらの監察員であってもどちらも正しい審判であると言えます。
競技者の立場としてはセーフにして欲しいところですが、ルールの中で行われるのがスポーツの大前提なので、アウトとなった場合は、李下に冠を正してしまうような行為をした自分に非があると言わざるを得ません。
なので私は指導者の立場として、出場した限りはやはりたとえビリであったとしても、公認記録は残してあげたいので、水泳教室の最中にいつも生徒さんにお伝えしているのは「ちょっとぐらい傾いても大丈夫だけど、ホントにちょっとにしておいてね」という事です。
せっかく頑張ったのに失格ではあまりに可愛そうなので。
これはタッチターンでもクイックターンでも共通したポイントなので、その点はくれぐれもお気を付け下さい。
3.背泳ぎのターンの前に
水泳の上達に伴い増えてくるのが泳ぐ距離で、それに欠かせないのがターンですが、背泳ぎのターンは、ルールはさほど厳しくないのですが、一番難しいと言えば一番難しいターンです。
難しい理由はターンではなく、ターンの前の壁際にあります。
タッチターンの場合なら壁に手がつくタイミングを、クイックターンならうつ伏せになるタイミングをどうやって取るかが一番の課題で、正直ターン以前の問題となってきます。
この練習方法は色々ありますが、私が個人的にお勧めしたいのは5Mの旗からの目測です。
よく5Mの旗から何回かくかというのを覚えておいて、というのを聞きますが、私は自身の水泳教室ではそれは言わず、とにかく目測がつくようになるまで泳ぎ込んで下さい、と伝えてます。
しかし壁で手をぶつけてケガをしてまで練習する必要もないので、慣れるまでは怖いと思った時点で片手を上げたままにして、そのままキックでゴールして下さい、と言っています。
少々格好は悪いかもしれませんが、ケガの心配がなく、しかもルール違反でもありません。
そして「ちょっと手を止めるのが早過ぎた」と感じたなら次はもう1回かきを増やせばいいだけの事ですので。
みなさんも熱心になられるのは大いに結構ですが、くれぐれもケガだけには重々気をつけて頂き、楽しい水泳を満喫なさって下さいね。
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