自由形の手のかき方の習得時に初心者が陥り易い失敗とその注意点
自由形における手のかき方は簡単そうでなかなか難しいものです。
今回はその練習の際の、初心者がよく陥り易い失敗をまとめてみました。
1.自由形
そもそも自由形とは泳法そのものにはルールや規制はなく、どんな泳法で泳いでも構いませんよ、というものです。
個人メドレーとメドレーリレーの際は、バタフライ、背泳ぎ、平泳ぎ以外の泳法となります。
なので水泳の大会で「100M自由形」という種目でバタフライを泳いでも失格にはなりません。
しかしどんな泳法で泳いでも構わないのに自由形ではほぼ100%の方がクロールを選択されます。
つまり自由形と言えば一般的にクロールの事を指します。
そのことを前提に話を進めていくことに致しましょう。
2.自由形の手のかき方
どんな泳法で泳いでも構わないのに自由形でクロールを選択する理由は、もちろんクロールが他のどの泳法よりも最もスピードが出る泳法だからという事になります。
その自由形の手のかき方が今回のテーマですが、初心者が手のかき方を習得する際、最も陥り易い失敗するポイントは、やはり何と言ってもその形にこだわり過ぎるというところです。
最も早い泳法なので、一般スイマーでもまあまあ泳げる人なら、そこそこ早いスピードが出せます。
1日も早く水泳が上達するを願っている初心者にとっては、その人の手のかき方は興味津々です。
そして自分の上達した姿を想像しながら、憧れた人の自由形の手のかき方を一生懸命真似しようとします。
しかしそれがそもそもの間違いです。
次は初心者が自由形の手のかき方を習得する際の注意点を考えます。
3.自由形の手のかき方を習得する際の注意点
①上級者の形を真似し過ぎない
上級者がなぜ上級者かと言うと、一言で言えば「年季が違う」という事になります。
初心者と上級者の一番の違いは水や水泳にに対する感覚の違いです。
技術を習得するのは、多少の個人差はあるものの、誰でも割とすぐに習得できます。
大事なのは習得した技術をいかに自分で使いこなせるかという事。
上級者はその習得した自由形の手のかき方を繰り返し練習していく過程の中で、いかにたくさんの水を、いかに効率よく、いかに合理的に推進力に変えていくかを常に考え、そして実践を通して感覚的に体で覚えていきます。
感覚的に覚えるためには非常に長い時間を要します。
「この技を習得するには10年掛かる」などと、よく職人さんが言われますが、つまりはそういう事です。
大切なのは感覚です。
形はすぐ真似出来たとしても、感覚は各々違いますので100%真似することはできません。
憧れることはとても大切ですし、それに近づくために真似てみる事も悪い事ではありませんが、その時は必ずそれに感覚が伴わないと意味がないことをしっかり念頭に置いといて下さい。
②バタ足を止めない
自由形の手のかき方を習得する際、実際の動きの中で最も気を付けて頂きたい点です。
「手のかき方の練習なのに足を気をつけるの?」と思われるかもしれませんが、自由形は水平位になって初めて自由形です。
初心者によくあるパターンとして「一つやったら一つ忘れる」という事。
水泳に限らず、新しい物を習得したり技術上達のための訓練中には大概の人が陥るパターンです。
手のかき方を練習している時は手に集中します。
すると大体一番忘れるのはバタ足。
理由としては、バタ足をしていなくてもそこそこは浮いてるので、差し迫って困らないから。
しかし自分では気が付かないうちに、バタ足をしていないツケは手に回ってます。
バタ足の大きな役割の一つは全体のバランスを取る事。
その足が止まるとバランスを取る仕事は手に回ってきて、自由形の手のかき方の習得のために一生懸命練習しているのにも関わらず、手はバランスを取る仕事がメインになってしまっているのです。
これでは習得できるものも出来なくなって当たり前です。
しっかり手のかき方を練習したいなら、練習できるだけの環境を作ってあげないといつまで経っても上達は見込めません。
ちなみにバタ足を忘れる一番の理由は「忙しくてそれどころじゃない」というのが本当のところですが。
③無理に息継ぎを付けない
自由形の手のかき方を練習しているのですから、無理に息継ぎをつける必要はありません。
初心者の陥り易い失敗のポイントとして「目的が途中で変わってくる」というものが挙げられます。
初心者は1日も早い上達を願っています。
その第一段階の最終目標として「自由形で25M完泳する」というのが一般的です。
それがいつも念頭にある状態で練習されておられるので、つい25M泳ぎたくなってしまうのも重々分かります。
そして手のかき方の練習中に無理にでも息継ぎをつけてしまうとつい25M泳ぐことにチャレンジしたくなってしまいます。
しかし結果的には、自由形の手のかき方を練習していたのに、いつの間にか、とりあえずプールの端まで着けばいい的感じになってしまいます。
自由形の手のかき方を練習する場合は無理に息継ぎをいれず、25Mプールをいっぱいいっぱい使う必要はないんだと、自分によく言い聞かせておいて下さい。
4.初心忘れるべからず
自由形の手のかき方は、水泳をした事がない人でも殆どの方が知識として知っておられるので、大まかにやれと言われても殆どの人がすぐ出来ます。
大まかにでもすぐ出来てしまうので簡単にできると勘違いしてしまい、すぐ次の課題や新しい種目、または上級者の泳法を習得しようとしがちです。
新しいことに興味津々となるのはとても素晴らしい事ですが、もう一度上級者の、泳法ではなくやってる練習内容をよく観察してみて下さい。
蹴伸び、バタ足、片手クロールなど、今初心者の自分がやっている練習とさほど大差ないはずです。
上級者になればなるほど基礎的な練習を多く取り入れる人が多いんです。
基礎練習の反復と継続こそが水泳上達への最大の近道。
いつかあなたが上級者になられた時この初心を忘れてなければ、もっともっと上達されることと思いますよ。
ついでに「忙しくてそれどころじゃない」でしょうけど、いつもバタ足だけは忘れずに。