クロールのリズムは自分だけのリズム
クロールはもとより何をするにしてもリズムというのは非常に大切な要素となります。
リズムの大切さはだいたいそれが崩れた時に分かるものですが・・・。
1.リズムの重要性
お正月休みに家族みんなで雪の温泉旅行なんて素敵ですよね。
時間や仕事に追われた毎日から解放され、家族と一緒に白銀と湯けむりの世界を満喫。
そして楽しいひと時を過ごした後は、自宅に帰って更にのんびり。
となる予定が、家に帰ってみると白銀の思い出はどこへやら。
何故か頭が痛かったり、温泉で疲れを取ったはずなのに妙にグッタリ。
気分はどっぷりグレーに染まり、とりあえず残りは寝て過ごそう、的なパターンの方は比較的多いはず。
この原因はもちろん生活のリズムが崩れたから。
時間や仕事に追われてる忙しい毎日を過ごす期間が長過ぎて、それが自分の生活のリズムとなり、休みだからといきなり違うリズムで過ごしてしまうと、こういう悲しい現実に直面したりしてしまいます。
それほどまでにリズムは生きる上においても、とても重要な事項となります。
それを踏まえた上で、クロールのリズムについて考えてみたいと思います。
2.クロールにおけるリズム
リズムを意識しながらのクロールとなると、そこそこの泳力が必要となりますので、今回は、100Mくらいは続けて泳げる方を対象として話を進めていきたいと思います。
さて、クロールにおけるリズムということですが、リズムの重要性は冒頭でも触れましたように崩さないというところにあります。
リズムが崩れるとテンポが乱れ、その結果フォームが崩れ、呼吸が乱れ、続く泳ぎも続かないという図式になります。
リズムよく泳いでいたはずのクロールが、気が付くと何となく崩れていて、泳いでもしっくり来ない時がありませんか?
ではクロールにおいてリズムが崩れるのはどのような時なのかを探ってみましょう。
3.いつのまにか崩れてしまうリズム
クロールのリズムを見ていて、いつの間にかリズムが崩れてしまっている人と、だんだん尻上がりにリズムが良くなってくる人を見かけます。
リズムが良くなってくる人のパターンとしては、簡単に言えばエンジンが掛かってきた人。
その日の体調や天候によって全体のコンディションが今一つという場合はよくある事です。
そういった場合は、だいたいいつものアップの距離の倍以上泳いだぐらいでエンジンが掛かりだし、体が水に馴染むような感覚を覚え、その辺りからリズムも良くなってくる人が多いようです。
ではリズムがいつの間にか崩れてしまう人はどんなパターンが多いのでしょうか?
クロールが100Mくらいは泳げる人で体調とコンディションはいつも通り、25M屋内プールでクロールの練習を始めたという設定で考えます。
アップ、キック、ドリルとそれぞれを300Mくらいづつこなし、いよいよメイン練習に入り、クロール50M10本を泳ぎ始め、そしてふと気づくとリズムがおかしい。
何となくおかしい、何となくしっくりこない。
一度それに気が付いてしまうと、ついリズムを直したくなってしまうので、どうにかしようと泳ぎながらの修正を試みるのですが、気持ちの焦りも手伝って、こういう時に限ってなかなか直らない。
直らないから尚更焦るの悪循環。
こうなると一度止まって休憩を入れてしまうの手っ取り早い方法です。
しかしなぜ順調に泳いでいたはずのクロールのリズムが崩れてしまったのでしょうか?
この場合一番の要因で考えられるのは、単純にバテたから、ということです。
100Mくらいではまだまだ持久力が足りません。
もう少し水泳が上達しないとメイン練習までの900Mでバテるのも想像できます。
しかしバテつつもしっかりリズムよくこなしていた練習なのに急にメインの50M10本のクロールになったらリズムがおかしくなったのは何故でしょうか?
リズムが崩れやすいもっとも多いパターンの一つとしてターンが挙げられます。
ここでリズムを崩される方は非常に多いです。
ターンそのものでリズムが崩れるのはもちろんですが、ターンに入る前の心持ちからリズムが崩れている場合が多いです。
ターンに慣れていないので、壁が近づくにつれ「(壁が)来た、来た、来たー!」とドキドキしてしまい、クイックターンにしようか、それとも無難なタッチターンで済まそうかと2つしかない選択を迫られ、そうこうしてるうちに壁に到着し、とりあえず何でもいいので折り返さなくてはいけない状況になり、もうその時点でリズムも何もあったもんじゃない、といった感じになります。
この場合の根本的な解決方法は、まずしっかり泳ぎ込んで持久力をつけることです。
ターンの練習で壁から5Mくらいの範囲で繰り返し練習する方をよくお見掛けします。
その練習方法は、狭い範囲で何度も繰り返し練習するので、短時間で効率よく、しかも息も上がらないのでとても楽しく行える良い練習方法だと思います。
しかし肝心なのは、ターンは25Mプールの場合、50M以上の距離を完泳する中での一つのパーツであるという認識を持っておかなければならいということです。
ターンの練習をすればターンは上手になります。
しかし上記のパターンの場合でしたら、あくまでも50Mの中の一部分であるということ。
つまりターンのためのターン練習ではなく、50Mをリズムよく完泳するためのターン練習であるということです。
くれぐれもその事を認識して頂き、ある程度ターンができるようになったら、次はいかに泳ぎの邪魔にならないターンにするか、という観点から練習されることをお勧めします。
4.お気に入りの歌でリズムよく
クロール自体のリズムを崩さず泳ぐ練習方法として、やはりお勧めしたいのは好きな歌を頭の中で歌いながらそれに合わせて泳ぐ方法です。
これは昔からよく知られている方法ですが、個人的には一番お勧めしたい方法です。
好きな歌を歌うだけで気分が楽しくなり、且つそれに合わせて泳ぐ訳ですから尚更面白いです。
本当に流れている曲に合わせる訳じゃないので、テンポも自分の好きなように変えられますし、少々リズムについていけない部分があったとしても自分で勝手に一時停止して、都合のいいところで再び再生ボタンを押せばいいだけなので無理もしなくて安全です。
そして気分がいい状態で泳げるということは、無理なく泳ぎ込みができるところにあります。
持久力がつき、そして曲に合わせることでリズムも取り易い。
まさに一石二鳥の練習方法ですので、ぜひお勧めしたいクロールでのリズム練習方法だと思います。
5.自分のリズムは自分だけのもの
冒頭でも触れましたが、遊びに行ったのに疲れたというのは、普段の喧噪の中の生活が既に自分のリズムだったからというものでした。
クロールでよく勘違いされているものとして「あんな早いテンポで泳いだらしんどいだろうに」と人の泳ぎを見て思ってしまうパターン。
勘違いしてしまうものの一つにテンポがあります。
テンポは、分かり易いところでいうと手をかく早さとかになります。
傍から見てテンポが早いといくら思われても、その人にとってはそのテンポがいいんです。
そのテンポがいいという大きな理由の一つが「リズムが取り易いから」ということがあります。
逆に言うと「今日はいまいち泳ぎがしっくりこない」とか、まだ自分のリズムが見つかっていない気がするいう方は、テンポを変えてみるとしっくりする=リズムが取り易い泳ぎが案外見つかるかもしれませんので、ぜひ試してみて下さい。
自分のリズムは自分だけのものです。
色々試しながら探してみたり、新しいものを発見したりして、最終的には水泳全般の上達につなげていってみて下さい。
同時に、水泳上達を目指すプログラムを、仕事と時間に追われる自分の日常に組み込んで頂き、楽しくて張りのあるあなただけの新しい生活リズムを構築して頂ければ幸いです。