クロールで楽に泳ぐ方法~鍵はバタ足にあり
クロールを覚え始めの頃は25M泳げただけで嬉しいものですが、慣れてくると少しでも楽に泳ぐ方法を考え始めてしまうのも至極当然の事。
さて、クロールを楽に泳ぐ方法なんて本当にあるのでしょうか?
1.クロールを楽に泳がない方法
クロールを一生懸命、目一杯、全力の力と技術で泳ぐと、セオリー通りに泳げている場合、肉体的に一番初めに疲れるのは足です。
足は大きな筋肉群が集まっている場所なので、動かせばカロリーの消費量が一番多い分、一番疲れる場所でもあります。
つまり楽に泳がないクロールとは、バタ足をしっかりと打って泳ぐクロールということになります。
という事は、クロールを楽に泳ぐ方法で一番手っ取り早いのは、バタ足をあまり打たずに泳ぐクロールということになります。
これで話は解決。
見事、クロールを楽に泳ぐ方法が見つかりました。
めでたしめでたし、と言いたいところですが、そうは問屋が卸さないのが水泳の奥の深いところ。
次の章は、バタ足をあまりしないようにするだけではクロールは楽に泳げない理由を探ってみましょう。
2.バタ足を打たないクロールなのに疲れるのはなぜ?
大きな筋肉が集まっている足を使わないことでカロリーの消費を抑え、その結果クロールが楽に泳げるようになる予定なのにも関わらず、実際やってみると思ったほど楽じゃないという方も結構おられます。
その理由として分かり易いところで言うと、足を動かしていない分、本来足がするべき仕事を他の部分がやらなくてはならないから、という事です。
クロールにおけるバタ足の大きな役割の一つに「全体のバランスを取る」ということがあります。
バタ足を常にコンスタントに打つことで姿勢全体のバランスが取り易くなり、そのお陰で呼吸がスムーズにできたり、手で水がしっかりかけたりしています。
そのバランスを取る足を動かさないという事は、他の誰かがバランスを取る役目を担わなければなりません。
役目の担い手で一番に白羽の矢が立つのは、体の中で最も器用な手の平と腕です。
しかし手の平や腕は、水をつかんだり、集めたり、押し込んだり、また元の位置に戻したりと、何かと忙しい役目が予め決まってます。
そんな状態なのにも関わらず、それに加えてバランスまで取れと言われても、手にしてみたら文字通り手一杯なのにそんなの到底無理なこと。
やむを得ず何か手を抜かないととてもやっていけないので、結局一番手抜きし易い水を最後までかくという、推進力につながる重要で一番しんどい部分で手抜きせざるを得なくなります。
推進力につながり易い部分でサボってしまう訳ですから、当然スピードは出にくくなります。
スピードが出ないと揚力が発生しにくくなります。
揚力が発生しにくくなると体は沈みやすくなってきて、でも頭では沈んでは泳げないと分かっているので、手をかく回数を増やして何とかごまかそうとし始めます。
結局、手を一生懸命、目一杯かくハメになって、結果ちっとも楽じゃないクロールの完成ということになります。
なぜ楽じゃないのかをご理解頂いた上で、今度はいよいよ楽なクロール方面への突入です。
3.クロールを楽に泳ぐ方法
クロールを楽に泳ぐ方法があるとするならば、ハッキリと言えることは「リズムとテンポを崩さないこと」と「軸をぶらさないこと」ということです。
同じリズムと同じテンポで泳げば、呼吸がコンスタントにでき、息が上がりにくく、その分楽です。
リズムとテンポが一定で泳げているかどうかは、頭の中で歌を歌って、その歌に合わせて泳いでみるのが手っ取り早くてなかなか楽しい方法です。
次に、ここで言う軸をぶらさない事というのは、真っ直ぐな姿勢で泳ぐいうこと。
軸をぶらさない方法としては、やはり蹴伸びをしっかりと練習されることをお勧めします。
軸がぶれるのは体幹がしっかりしていないから。
蹴伸びの状態で手足を使わず、その姿勢で耐えるという訓練を続けると、体の中心に近いところに力を入れられるようになってきて、自ずと姿勢の軸も決まってくるようになります。
その力の入れる感じがわかるようになってくると泳いでいる最中も軸がぶれにくくなります。
これはクロールだけでなく、水泳そのものが上達する方向になる練習なので、ぜひ積極的に取り入れてみて下さい。
4.「楽」を極める前に「楽しさ」を極めよう
「バタ足の話はどこに行ったの?」とお思いでしょう。
本当のことを言うと、バタ足をせずに泳ごうとする事自体がそもそも間違いです。
確かにバタ足をしない方がいい練習内容もあったりしますが、クロールを楽に泳げる方法という観点から考えると、バタ足の練習を入れることは必須となります。
バタ足の練習を取り入れることはクロールを楽に泳げるようになるだけではなく、他の水泳種目の技術の上達、加えて膝関節痛の改善にもなり、ついでに高いダイエット効果も期待できることにつながります。
そしていつか必ずクロールが楽に泳げるようになっていることは間違いありません。
ですのでぜひバタ足の練習は続けるようになさってみて下さい。
せめてバタ足が楽しく出来るようになるまでは。